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脂肪のことを正しく知ることが効果的なダイエットの近道|メディカルアーカイブ

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> 脂肪はどうやって蓄積するの?

どうして太ってしまうの?
脂肪が蓄積するしくみとは

 ダイエットは脂肪の蓄積との闘いです。がむしゃらにダイエットを始める方がいますが、結局リバウンドするなど、なかなかうまくいきません。どうして脂肪が蓄積するのか、脂肪が蓄積するしくみを理解することがダイエットの近道と言えます。

薬剤師のイメージ <この記事の著者>
 メディカルアーカイブ所属 薬剤師 松田俊浩※
 がむしゃらなダイエットは長続きするものではなく、そもそも脂肪がどのようなものかを知ることがダイエットの近道と言えます。脂肪とダイエットの関係について、わかりやすく解説していきます。

目次


飢えに備えて脂肪をたくわえる

「美味しいものはたくさん食べたい!でも、脂肪がつくのは嫌!」

 誰もがこのように思うのですが、私達の体はこの想いに反して食べた分だけ脂肪がついていきます。「これしか食べてないのに太った!」という事もあるように、驚きの効率のよさで脂肪がついてしまうこともあります。

 どうして私達の体は、こんなにも効率よく脂肪を蓄えてしまうのでしょうか?

 それは人類の歴史をさかのぼること数百万年、人類が原始時代を生き抜いていた頃からの話になります。その時代は狩猟をしたり、農耕を始めたりして食べ物を手に入れていましたが、狩猟に失敗したり、天候の異変などで常に飢えと隣り合わせの生活でした。

 そもそも、自然界において食べ物に困っていない動物はおらず、どの動物も飢えないように食べ物を必死に探しています。

 人間もそのような厳しい生活を生き抜くために、体は取り込んだ栄養を効率よく脂肪に換えて体内に貯蔵し、食糧不足になった時にエネルギー源として使うシステムを構築してきました。

 今でこそ飽食の時代といわれていますが、食生活が豊かになったのは最近の話であり、「ダイエット」などという概念は存在しませんでした。人類は長い間飢えと戦い続け、そのシステムは依然として私達の体に備わっているのです。

 このシステムはそもそも飢えの中でも生き抜くために人類が構築したものであり、1つの進化とも言えますが、飽食の時代になったことで逆に作用し、太りやすい体質であることが健康を害するようになってしまったのです。

摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると太る

 太る、太らないを考える上で重要なのが「摂取エネルギー」と「消費エネルギー」のバランスです。私たちの身体は食べ物に含まれる糖質、タンパク質、脂質を栄養素として摂り込んでおり、ここから得られる熱量を「摂取エネルギー」と呼んでいます。

 一方、私たちが体温を維持したり、身体を動かしたりするのに必要な熱量を「消費エネルギー」と呼んでおり、体内に存在するエネルギーを使って生命を維持しています。

 この2つのエネルギーバランスがとても重要であり、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っていると「太る」、消費エネルギーが摂取エネルギーを上回っていると「痩せる」ということになります。

 人類は長年飢えに苦しんできたわけですから、貴重な食べ物によってエネルギーを摂取できた場合、消費エネルギーを差し引いて余った分は貴重なエネルギーとして身体に蓄えようとします。これが脂肪です。


エネルギーバランスを意識することが大切

 摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスは、大きく4つに分類することができます。1つ目が摂取エネルギーと消費エネルギーが同じ、つまり食事と運動のバランスがとれた正常の状態です。

 2つ目は消費エネルギーは正常だが、摂取エネルギーが多すぎる、つまり食べ過ぎで太る状態。

 3つ目は摂取エネルギーは正常だが、消費エネルギーが少ない、つまり運動不足で太る状態。

 4つ目は摂取エネルギーが多すぎて、かつ消費エネルギーが少ない、つまり食べ過ぎなのに運動不足という最も太りやすい状態。

 消費エネルギーと聞くと「運動」を想像しがちですが、もっとも消費エネルギーに貢献しているのは、呼吸をしたり、心臓を動かしたり、体温を維持したりする生命維持に関わる「基礎代謝」です。

 この基礎代謝は年齢とともに低下していくため、ダイエットの際には食事量、運動量、そして年齢を加味した基礎代謝の3つを考慮し、このエネルギーバランスを意識することが大切です。

脂肪の蓄積にはインスリンが関係

 ごはんやパンなどの食品を摂取すると、体内で消化液や酵素によって分解されブドウ糖になります。ブドウ糖は肝臓から血液中に送り出され、全身の細胞に運ばれてエネルギー源となります。

 血液中にどのくらいのブドウ糖が存在するかを表したものが血糖値であり、高くても低くても体にさまざまな影響を与えます。

 血糖値が高い状態、つまり体内のエネルギーが過剰な状態になった場合は、膵臓からインスリンと呼ばれるホルモンが分泌されます。このインスリンにはブドウ糖を細胞内に取り込ませ、エネルギーとして活用させる働きがあります。

 また、余ったブドウ糖を中性脂肪に変えて脂肪細胞に取り込ませ、エネルギー源として貯蔵する働きもあります。これらの働きによって血糖値の過剰な上昇を抑えることができるのです。

 しかし、食べ過ぎや運動不足が続くとエネルギーが過剰になり、体内でのエネルギー燃焼で余ったエネルギーは次々に貯蔵エネルギーとして蓄えられていきます。

 さらにこのような状態が続くと血糖値を下げるインスリンが効きにくい体質になり、ますますエネルギーの燃焼が減って脂肪が蓄積するようになります。


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